「求心力」の高い企業は、「安泰」を実現することができる。メンバーは結束して事業活動を進め、顧客は商品サービスのファンになる。必要な資金や情報、人材の確保も容易となる。いざという時に関係先や地域社会は、その企業を「なくてはならない存在」として支え続けようとするだろう。
「東洋史観」による人間集団の「求心力」を高める方法は、自然界の法則に基づいている。
集団には本来、「守備」、「攻撃」、「習得」、「伝達」、「引力」という5つの「氣」(エネルギー)が備わっていて、それらがバランスよく高まることで、求心力が最大化すると言う。
では、「求心力」を高めるために、これら4つのエネルギーのバランスをとるには、どうすれば良いのか。そもそも、これらのエネルギー量は計測できるのだろうか?
仮にそれができたとして、リーダーは常にそれらのバランスを見ながら経営の舵取りをしていくのだろうか?
そんな必要はない。
「東洋史観」では、こんな原則を伝えている。
集団にはさまざまなメンバーが集まっている。「攻撃」の強い人がいれば、「守備」が強い人もいる。「習得」が得意な人がいれば、「伝達」が得意な人もいる。
そして、メンバー全員の個性と才能のエネルギーの総和は、自然に4つのバランスが取れたものになるというのである。
すなわち、求心力を高めるためにリーダーがなすべきことは、バランスが取れているかどうか腐心することではない。メンバーそれぞれの個性や才能を最大限に発揮させることなのだ。
東洋の賢人たちが、人間分析の技術を懸命に研究し、国の命運を左右する秘伝
として受け継いできたのは、この理由によるのだ。
また、東洋の知恵は言う。
宿命とは、生まれながらに持つ自分の個性と才能のタネのこと。人は、自分の個性と才能を存分に活かすことができるとき、自己肯定感が高まり、自己実現を果たそうとする。目の前の困難な 課題を成長のチャンスと捉え、逃げずに挑戦して成長し、人生が充実する幸せを感じる。そして、その姿は美しい。
一人ひとりの個性と才能を最大限に活かそうとする求心力経営は、メンバーの幸福感を高め、自立型リーダーを育て、高い生産性と問題解決力を発揮し、強靭で“美しい”経営だと言える。