『人間の師は大自然である』(東洋史観)

東洋史観は、2500 年以上にわたって、軍師や学者など一握りの人たちの間で受け継がれてきた知恵の集積です。近年になって、故高尾義政氏(文学博士)によって、現代に即して体系化されました。もともと、その奥義は門外不出、一子相伝の口伝であったとも言われており、東洋史観について詳しく書かれた資料や書物は少ないようです。

当社代表の篠田は、2010 年ごろ、東洋史観の数少ない継承者である鴇田正春先生に出会い、高尾義政先生や高弟の方々から受け継いだ知恵をまとめた書籍の出版をお願いいたしました。

以下、鴇田正春著「今こそ、東洋の知恵に学ぶ」(メトロポリタンプレス、2011 年)から引用いたします。

東洋史観は、東洋的自然観を基に体系づけられた知恵の遺産であり、人間学である。自然界の法則から人間および人間集団を支配する法則を知り、それを国家の軍略や個人の処世術として活用しようとするものである。その原理になっているのは、黄河文明圏から発生した「陰陽五行説」である。そこから導き出された思想は、自然界も人間も一つの真理によって結ばれており、自然界の摂理はそのまま人間界の摂理でもあるとするものである。そこから人間が生き残るための究極の知恵を得ようとすれば、その師は眼前に広がる自然界となる。

(中略)

その起源は古く、古代中国に端を発する万象学で、春秋時代(BC722〜BC481)に形成され、後に縦横学・算命学を経て、東洋史観学へと引き継がれてきたものである。
唐の時代(618〜907)に学問として体系化され、宋、明、清の時代に帝王学として発展している。

(中略)

時邑所術(東洋史観の軍略論)を駆使することによって、指導者は自分がどのような環境(時代と社会)に立たされているのか、その環境のもとでいかなる戦略や戦術を展開すべきかを、広い視野で判断することができる。企業であれば従来の事業分野が今後も維持できるのか、いかなる戦略行動が求められるかが明らかになる。指導者の重要な役割は、来るべき時代と社会の動向を見通し、対応策を準備して実行することである。

TOP